辞めることは決めた。有給も、けっこう残っている。できれば全部使ってから辞めたい。
でも、「有給を全部消化させてください」なんて、言い出しにくい。図々しいと思われないだろうか。迷惑をかけるんじゃないか。
そんなふうに、ためらっていませんか。この記事では、退職時の有給消化について、伝え方も含めて正直にまとめます。
まず:退職時の有給消化も、あなたの権利です
いちばん大事なところから。
残っている有給を、退職前に消化することは、認められた権利です。 「辞めるのに使うなんて」と後ろめたく思う必要はありません。
有給は、これまで働いてきたことに対して発生しているもの。辞めるからといって、なくなるわけではありません。
そして、使わずに退職日を迎えたら、その分は消えます。 遠慮した結果、あなたが損をするだけなんです。
① いつ伝えるか:退職を伝える時に、セットで
タイミングは、退職を伝えるその場がいちばんスムーズです。
あとから「やっぱり有給も…」と切り出すより、最初に「退職日」と「有給消化」をまとめて相談したほうが、会社側も予定を組みやすい。別々に言うと、二度気まずい思いをします。
だからこそ、伝える前に残日数を確認しておいてください。給与明細や勤怠システムに記載があるはずです。分からなければ、人事や派遣会社の担当さんに聞けば教えてもらえます。
② どう言うか
長い説明はいりません。事実と希望を、短く。
「◯月末で退職させていただきたいと思っています。有給が◯日残っているので、消化させていただいてもよろしいでしょうか」
これで十分です。
ポイントは、「お伺いを立てる形」で切り出すこと。 権利ではあるのですが、「消化します」と宣言するより、相談の形のほうが、その後の空気がずっと穏やかになります。
そのうえで、もし渋られても、引き下がる必要はありません。 退職の伝え方そのものについては、別の記事にまとめました。
③ 「引き継ぎがあるから」と言われたら
いちばんよくある反応が、これです。
その時は、逆算して提案するのが現実的です。
「引き継ぎは◯日までに終わらせて、その後に消化させていただければと思っています」
「休みたい」ではなく「引き継ぎはやります。そのうえで」という順番で伝えると、通りやすくなります。実際、引き継ぎを終わらせてから消化するのが、いちばん揉めません。
そして、退職日から逆算して、いつから休みに入るかを自分で先に決めておくこと。会社に決めてもらおうとすると、たいてい後ろ倒しにされます。
④ 断られたら?
「うちは有給消化はさせない」「そんな前例はない」そう言われることも、残念ながらあります。
でも、知っておいてください。会社には有給の日をずらしてもらう仕組み(時季変更権)がありますが、退職日より後にずらすことはできないと、一般には考えられています。つまり、退職前の消化を実質的に拒否するのは難しい、ということです。
とはいえ、法律の話をその場で持ち出すと、関係が悪くなります。まずは穏やかに、でも引き下がらずに、もう一度伝える。 それでもどうにもならない時は、お住まいの地域の労働基準監督署などに相談するという方法もあります。
⑤ 買い取りは、期待しないほうがいいです
「消化できないなら、買い取ってもらえないの?」そう思うかもしれません。
有給の買い取りは、原則としては認められていません。 ただし、退職時に残ってしまった分については、会社が任意で買い取ることもあります。
ここで大事なのは、会社に買い取る義務はないということ。だから、期待しないほうがいいんです。「買い取ってもらえるかも」と思って消化しないでいると、そのまま消えてしまいます。使えるうちに、使う。 これが基本です。
⑥ 派遣の場合
派遣で働いている方は、有給は派遣会社から付与されています。だから、消化の相談も派遣会社の担当さんにします。派遣先の上司ではありません。
契約更新をしないと伝える時に、一緒に相談するのがスムーズです。
そしてもう一つ、知っておいてほしいこと。有給を使った日の給与は、いつもの1日分と同額とは限りません。 計算方法によっては、通常より少なくなることがあります。私も、日給の6割ほどしか出なかったことが何度もありました。有給そのものについては、こちらの記事に詳しく書きました。
⑦ どうしても言えない・拒否されるなら
ここまで読んでも、「言える気がしない」という方もいると思います。上司に切り出すこと自体が怖い。何度言っても取り合ってもらえない。
そんな時は、退職代行という選択肢があります。
ただし、ここは重要なので、はっきり書きます。退職代行なら何でもいい、わけではありません。
有給消化は「交渉」にあたります。そして、会社と交渉できるのは、労働組合が運営・連携しているか、弁護士が対応しているサービスだけです。民間業者は「退職します」と伝えることはできても、有給の交渉まではできません。
有給消化を含めてお願いしたいなら、運営元を必ず確認してください。 退職代行の選び方については、運営元の違いも含めて、別の記事に正直にまとめています。
引き止められて話が進まない時のことも、こちらに書きました。
最後に
有給を使って辞めるのは、ずるいことでも、迷惑なことでもありません。あなたが働いた分、当然に持っているものです。
遠慮して消えてしまうより、使ってから次に進んでください。その休みは、次の場所へ行くための、大事な準備期間になります。
人にも、自分にも、ちょうどいい距離で。ちゃんと、自分を大切にしてから。

